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詰将棋ルール論:変同余詰について(その2)

4.変化と紛れおよび関連用語について

次に、詰将棋において最も基本的といえる用語である「変化」と「紛れ」の定義を整理していきたい。
これらの用語でまず確認しておかなければならないのは、「変化」とは受方の着手に関する用語であり、「紛れ」とは攻方の着手に関する用語であるということである。
この両者はしばしば混同して用いられている場面を見かけるが、ルール論を検討するうえではきっちりと区別して使用しなければ混乱を招くことになる。
本稿では、変化と紛れを以下のように定義して用いることにする。

・変化:受方が「作意手順」と異なる着手をした場合
・紛れ:攻方が「作意手順」と異なる着手をした場合※3

この定義にしたがって、詰将棋のルールにおける基本原則を確認していこう。

まず、変化については、理論上以下のように分類可能である。

・変化が詰まない ――1
・変化が作意手順より短手数で詰む ――2
・変化が作意手順と同手数で詰み、かつ駒が余る ――3
・変化が作意手順と同手数で詰み、かつ駒が余らない ――4
・変化が作意手順より長手数で詰む ――5

まず1について、変化が詰まないということは当該作意手順は本手順ではありえない。
詰将棋のルールにおいては攻方は詰むように着手するという着手決定の準則が存在する以上、本手順であれば必ず何らかの手によって詰むのである。
したがって変化に不詰が存在するということは、本手順足りえないのであって、これは作意手順の設定を間違えているか、作品がそもそも不詰であるかのどちらかである※4
次に2の変化早詰であるが、これは理論的に問題になることはまずない。作意手順をルール上の本手順に設定できている場合には、変化が早く詰むこと自体は、ルール上問題がないからである。
3は「変化同手数駒余り(変同駒余り)」と呼ばれる類型である。これについても、応手最善説を前提にすると、本手順と同手数で駒が余る分には問題がない。作意手順が正しく本手順と一致するように設定されていた場合には、変同駒余りは本手順ではないことになるため、変化が割り切れているという表現をされることになる。
なお、このとき、応手純粋最長説を採る場合には、変同駒余りも本手順に含まれることになる点は注意が必要である。
4は「変化同手数駒余らず(変同駒余らず)」と呼ばれる類型である。一般に変同という用語が使用される場合には、この変同駒余らずを指している場合が多い。これは作意手順が本手順と一致するように設定されている場合にあっても、ルール上は本手順となる手順であることになる。というのも、応手決定準則において、作意手順と変同駒余らず手順を区別する基準が存在しないためである。両者はルール上は等価値でありどちらも本手順として正解を構成することになる。
なお、応手純粋最長説を採る場合には3と4を区別する意味がない。したがって、応手純粋最長説による場合は両者を合わせて変同という用語が用いられることになる※5
最後に5であるが、作意手順との関係で変化が長手数になるということは、原則的には作意手順の設定を失敗し、本手順と一致していないことを意味する。なぜならば、応手最善説においても応手純粋最長説においても、どちらも、本手順における応手決定準則には、応手最長律が採用されている。すなわち、最も長く手数のかかる応手が本手順において選択されるのであって、作意手順よりも手数が長い変化が存在するのであれば、それこそが本来本手順となるべき手順であるのである。これは変化長手数と呼ばれている類型である※6

以上からわかる通り、1と5の類型が見つかった場合には少なくとも作意手順は失敗していることになる。応手との関係では、この両者の類型に合致する場合には、不完全作となる可能性を有していることになる※7


次に、紛れについては以下のような分類が可能である。

・紛れが詰まない ――1
・紛れが作意より早く詰む ――2
・紛れが作意より長く詰む ――3

これについて、まず1の紛れが詰まないことについて問題ない。
詰将棋のルール上は、少なくとも1通り攻方には詰む手順が存在していれば、本手順として成立するのであり、作意手順が詰むのであれば、紛れが詰まないことは問題にならないのである。

問題は紛れが詰んでしまう場合である。
この場合は2と3のパターンが存在することになるが、これについて作意手順が本手順と一致していない可能性と、作意手順が本手順と一致している可能性とがある。
たとえば、作意9手の作品において、3手目の紛れが5手で詰む場合を考える。この時、2手目の変化に7手で詰む順が存在する場合、本手順は7手で詰む順であり、作意は2手目の時点で本手順から外れていることになるのである。
上記は2の場合の例示であるが、純粋に変化が本手順を構成する場合には、3の場合でも同様のことは起こりうる。

このような、別の変化が本手順を構成する場合を除くと、2の類型も3の類型も本手順と一致する作意手順において紛れが詰むということになる。
このように紛れが詰むことを「余詰」と呼称することになっている※8
詰将棋のルールにおいては、一般に「余詰不完全の原則」とでも呼称すべきルールが存在しています。余詰が存在する詰将棋は一般的には詰将棋としては認められないのです※9


以上の定義関係から考えると、本稿で問題となっている「変同余詰」とは以下のような定義になる。

作意手順と同手数駒余らずの変化順を基準に考えた場合に余詰が存在する※10

次の記事では、ようやくこの変同余詰の考察に入ることになる。




※3ここで、変化と紛れという用語の判断基準を「作意手順」としたのには意味がある。「本手順」を比較対象として変化と紛れを定義すると、事実上用語の定義として不都合が存在するためである。例えば、「紛れ」について本手順を基準とした場合には「余詰」という概念を定義できなくなる。というのも、現代詰将棋のルールにおいては、攻方は詰むように王手をかけるだけで良いことになっている。そうすると、余詰の存在する不完全作であった場合には、余詰手順も理論上は本手順に含まれることになる。したがって本手順と異なる手順を攻方が選択した場合、必ず不詰なのである。これを基準に紛れという用語を用いることは、少なくとも現代詰将棋における用語法とマッチしない。同様に、変化についても本手順を基準に定義づけると、理論上「変長」が原則として存在しないばかりか、「変同駒余らず」も定義不能に陥る。これら用語法上の不都合を回避するには、本手順ベースの定義付けは相応しくないといえることになろう。
※4著名な例としては図巧93番が挙げられる。本作品は作意手順とされている手順中の18手目に妙防が存在しており、作意手順は不詰であることが確認されている。しかしながら、この作品は偶然にも13手目に作意とは別に詰む手順が発見されている。当時は妙手説が採用されていたこともあり、この13手目早詰手順は作意手順とは到底考えられないというのが現在の通説ではあるが、理論的な意味における本手順は13手目からの早詰順であるということができるだろう。
※5変同(応手最善説にあっては駒余らず、応手純粋最長説にあっては駒余り、駒余らずの両方を含む)はルール上存在していても構わないとされており、詰将棋の完全性(詰将棋として認められるかどうかの基準。詰将棋としてルール上認められる場合には完全作と呼称される)の問題にはならない。そして、変同が存在した場合に、それを作品のキズ(完全作である詰将棋を評価するうえでの減点事項)として扱うべきかどうかについては議論がある。これは別の話題になるため、問題提起のみにとどめる。
※6変長に関しては慣例的な例外が存在している。応手決定準則が妙手説から最長説(最善説ないし純粋最長説)へ移行していく頃、2手変長駒余りが存在することが許容されていた。この場合、ルール上、当該2手変長駒余り順が本手順となるはずであるが、例外的に2手短く駒余りにならない手順を本手順として扱うという例外ルールが存在した。現在唯一規約化されているとされる詰将棋ルール規約である綿貫規約において定められているルールであり、現代詰将棋においても、スマホ詰パラが採用している。
※7ここまでの記述から分かるとおり、応手最善説と応手純粋最長説は、変同駒余りが本手順に組み入れられるかどうかに違いが有ることになるため、応手純粋最長説に立つ場合には、本手順の数が抽象的に増大することを意味する。このことは、本稿で議論の対象とする変同余詰についても、その可能性を増やすことになるために、変同余詰を不完全の枠組みに入れる場合に、完全作の範囲が極めて狭くなることになると考えられる。
※8このように、紛れが詰むかどうかのみを基準に余詰を定義することを、本稿では「形式的余詰」と呼称することにする。この形式的余詰では、作意とほんのわずかな違いである場合にも定義上余詰と分類することになる。たとえば、以遠打非限定に代表されるような一般的に許容されるような類型も余詰に含むことになる。これに対して、「詰んでしまうような紛れの中でも不完全と評価される程度のもの」を余詰と故障すべきと考える人を見たことがあります。この場合には、具体的に余詰と判断されるかどうかと不完全と判断されるかどうかについて一致した結論が出てくることになります。これを「実質的余詰」と呼称することにします。
※9一般に詰将棋が不完全であるとされる類型は「余詰」「駒余り」「不詰」の3種類に分類できると考えられます。ただし、余詰に関してのみ、形式的余詰の場合には不完全とはされない場合があります。実質的余詰の立場に立つ場合には余詰も例外なく不完全となることになります。形式的余詰の立場においては、余詰不完全の原則に対して例外ともいうべき諸類型が存在することになる。これは原則不完全とされる類型から救済措置として例外という形になるため、理論的にはキズとしての扱いを受けることになるだろう。一方で、実質的余詰の立場に立てば、原則例外という構造ではない。したがって不完全に該当しない場合には無キズと扱う可能性すらあることになる。
※10ここでは応手決定準則について、応手最善説に則った定義をしています。余詰については形式的余詰、実質的余詰のどちらの立場に立ったとしても論点となるコアケースについては大差がない。したがってこの点についてはどちらの立場から解釈しても構わないことになろう。
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